オールショパンのリサイタル。

17日に伴奏している学校の町の教会でオールショパンのリサイタルがあった。

今フランスは年金改革に対するストで連日交通機関は間引き運転、ガソリン精製所も閉鎖して移動が難しくなっている。
リサイタルの日に乗ろうと思っていたSNCF(国鉄)の電車もまんまと運休になってしまった。演奏する時間に間に合う電車はあったけれど、やっぱり早めに会場に行ってピアノを試さなきゃ、とRER(郊外高速地下鉄)で終点の駅まで行ってタクシーに乗ろうとしたらタクシーが1台もない。タクシー乗り場にあった番号に電話したら「5分から30分待ってください」と言われた。はぁ〜!?
30分待ってもタクシーは来ない。寒い中待つこと1時間。
ピアノを試すどころかこれじゃ演奏する時間までに到着できない!といい加減焦り始めた時にGoogleで見つけたタクシーの番号に電話したらやっと来てくれた。メーターが壊れているとかでボラれた。会場にたどり着けただけでも感謝だったので仕方なかった。

会場のピアノはユンチャンのモコモコしたピアノ。しかも白(笑)。
調律はされているけど、すごく弾かないと高音が鳴らない。慌てて出て手袋を忘れたので手はもちろん、全身冷えきっていてどうなる事かと思ったけどなんとか無事弾けた。

もともとはこのコンサート、学校のピアノの先生たちと3人でという話だったのだけど、2人の先生のうち1人は産休、もう1人は弾きたくないということで私1人で弾くことになったというもの。
選曲に苦しんだけど、ワルツ、マズルカ、ノクターン、エチュード、バラード、ファンタジー、幻想ポロネーズなど1時間20分ぐらいのプログラムで、間に2回ショパンの生涯についてのレクチャーが入った。私は楽屋にいたのでショパンの生涯の話を聞けなかったけれど、お客さんはとても興味深かったと言っていた。

今回選んだ曲はみんなが知っている曲を多くした。子供の時に弾いた曲、初めてフランスの講習会を受けた時に勉強した曲、コンクールやコンサートで弾きまくった曲、生徒が勉強していた曲、今回初めて取り組んだ曲…などいろいろ。昔弾いた曲は久し振りに掘り返してみたら別の曲のように新鮮な驚きがあったり、楽譜の書き込みを見て、こんな事を先生たちに言われていたのかとか、あの頃はこんな事を感じていたのか、などとあれこれ思い返したりして面白い体験だった。

ショパンっていいなと思った。
私はショパンコンクールなんてとてもとても、と一度も受けることを考えたことがなかったけれど、今になってショパンコンクールを受けた人たちはこうしてショパンばかり弾いていたのかと考えてみるとそれも悪くなかったのになと思える。準備するだけでもそれはそれで勉強になったのに、とちょっと後悔。
大学の時ある友達が「私はショパンよりシューマンだわ。ショパンって怖くて弾けない。あまりにもピュアすぎる」と言っていたのをふと思い出した。その当時はへぇ〜、そういう感じ方もあるのかと思ったけれど、なるほど。そういえばショパンを弾くと裸にされたようで恥ずかしいと言った人もいた。私はただシンプルにショパンの曲は素直にさせてくれるし自然に語らせてくれると思うけど…今でも私はシューマンよりショパンだ。

終わった後、聴いてくださった人たちに「今日はとてもいいひとときを過ごせました。ありがとう」などと祝福してもらえてうれしかった。「とてもいいひとときを過ごせた」というのはフランスでよく使う表現ではあるけれど、この言い回しから学んだことって大きい。演奏するということは聴いてくれている人たちと時間を共有することなのだ。人前で弾くことの責任(?)と素晴らしさ。

仕事をしながらの準備にはかなり苦労したけれど、ピアノと自分の関係を見つめ直すとてもいい機会になった。
後で友達に言われて気がついたのだけど、17日はショパンの命日だった。
命日にリサイタルできて光栄だった。私なりにオマージュできたかな?

“オールショパンのリサイタル。” への2件の返信

  1. お疲れさま~♪ショパンか・・・いいなぁ。私も24のプレリュードとかが中心のオール・ショパン・リサイタルやったことあるし、実はオール・シューマンとかも文化会館でやったのよね。でも私はショパン・・・。シューマンのほうがなんか表現が露骨じゃない?!?!(笑)
    今は合わせもののバッハ三昧で、お正月も練習だな、こりゃ、という感じです。
    でも初めて演奏旅行で行く鹿児島がなんだか楽しみ♪
    どんな楽器に当たるのかがちょっと心配だけど・・・。
    でも、ホント、聴衆と共に過ごす時間・・・、自分にかかってるとなると責任重大だよネ!

  2. > Koccomuちゃん

    ありがとう♪
    24のプレリュード中心っていいね。私もいつかやってみたいけど、いいピアノ、せめて黒いピアノで弾きたい(笑)
    オール・シューマンってのはまたすごいね。弾く方はもちろんだけど、聴く方もエネルギー要りそう。
    鹿児島で弾くんだ!いいね〜♪
    演奏旅行ってあまりのんびりできないかもしれないけど満喫してきてね。
    ほんと、どんな楽器に当たるかって私たちにとって実は一番問題かも?
    でも日本ならどこに行ってもきっといい楽器あるよ!ホールも立派だし。
    Koccomuちゃんのピアノ聴きたいなぁ。
    おいしいもの食べて体力つけて頑張ってね!

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