ラヴェルの住んだ家。

先週、ずっと行きたかったモーリス・ラヴェル(1875-1937)の住んだ家にやっと行けた。
場所はパリの西の郊外、Yvelines県(ヴェルサイユが県庁所在地)のMontfort-l’Amaury(モンフォール=ラモリ)という小さな町。ラヴェルは1921年から1937年に亡くなるまでこの家で暮らしていた。

パリからそんなに遠くはないけど駅からかなり歩くというので腰が重かったのだが、友達が車を出してくれたので助かった。着いた時は雨だったけど、近くのビストロでお昼を食べている間に雨が上がって、私たちの予約(電話とかで予約が必要)の時間には青空が広がっていた。私たち歓迎されてる!?

見学は予約制で、1時間。私たち(4人)とフランス人(かな?)のマダム3人が同じ時間に予約していた。
玄関を入ると、安藤広重などの浮世絵のポスターが。そういえばジヴェルニーのモネの家にも浮世絵があった。きっとこの時代ブームだったんだろう。
気さくだけどちょっと偉そうな感じのオバさんがずっとガイド(監視!?)をしてくれる。しかし、荷物とカメラを入り口のそばに置いていけと言われてがっかり。

ラヴェルは小柄な人だったというのは有名だが、入り口に展示されていたラヴェルのジレが本当に小さくてびっくりした。でもおしゃれな人だったんだなぁ。
そういえば天井が低かったような気がする。« The Lord of the Rings » のフォビットの家を連想してしまう。

話に聞いていたとおり、本当に面白いオブジェがいっぱいあった。
書斎にも浮世絵があり、中国やポルトガルかどこかのものと言われるぜんまいじかけの小さなおもちゃが並んでいた。
本棚にボルドー色の表紙の小さな本がたくさん並んでいたのだが、友達がその中に「ガリバー旅行記」があるのに気づいた。もしかしてあのシリーズは全部子供向けの本だったのだろうか?もっとよく本棚を見てくればよかった。

小さな部屋がいくつもあってそれぞれ個性的だったけれど、中でもダークグレーの壁でモノトーンのインテリアの部屋などはとてもモダンで、前世紀前半の家とは思えなかった。ラヴェルのセンスがうかがえる。

ピアノの部屋は他の部屋より天井が高く、壁は海のようなブルーだった。
ピアノの横の壁にラヴェルの母親の肖像画がかかっていていた。濃いはっきりした顔立ち。« Alborada del Gracioso(道化師の朝の歌)» が聞こえてきそう。
ピアノの上にはかわいいオブジェがたくさんあって、中には « Valses nobles et sentimentales(高雅で感傷的なワルツ)» にまつわるアデライドの人形というものもあった。
ラヴェルのピアノはエラールだった。弾かせてもらえるとは聞いていたのだが、触らせてくれる程度なのかと思っていたらラヴェルの作品を結構ちゃんと弾かなきゃならない状況だったので困った。気の効いたラヴェルの小品を持っていないので苦し紛れにずっと人前で弾いていなかった « Ondine » (Gaspard de la Nuit)を弾いてみたけど、白鍵は短いしグリッサンドはうまくできないし、それにピアノの上のものがすごく揺れるので落ち着かなくて難しかった。ラヴェルさまごめんなさいっ(>_<) とはいえ、前世紀初頭のピアノにしてはかなりいい状態だったと思う。ホンモノなのだろうか?(疑) 机の上には « l'Enfant et les sortilèges (子供と魔法)» の古いスコアが置いてあった。(初版!?)ちょうどこの家に住み始めた頃の作品だ。あの « Boléro (ボレロ)» (1928年)もヴァイオリンソナタ(1927年)もこの家で書かれたのかぁ。

ラヴェルの家ってとても不思議な空間だと思ったけれど、なんだか家全体が子供部屋みたい。ベッドが小さくて、寝室のヴォレ(雨戸)に星形の穴が2つあってそこから光が入り込んでいたり。このヴォレの穴はこの地方の家で時々見かけるスタイルらしいけど、それにしても星の形っていうのがおちゃめ☆
それでいて浴室にグルーミングキットが几帳面に並べて置いてあったりする。
この子供の世界への愛着と細かさ、なんだかあるゲイの友達の家を思い出させるのだが、やっぱりラヴェルはゲイだったんだろうか?

庭がまたかわいかった。池があって傾斜して小川のようになっている。
松の木もあってちょっと日本庭園みたい。

一緒に行った友達のうち2人は2度目の訪問だったそうだけど、確かに何度行ってもよさそう!
私もまた行きたい。

またラヴェルの曲を弾きたくなった。

La Maison-Musée de Maurice Ravel
モーリス・ラヴェルの家

個人での見学は土日のみ(グループは毎日)
10:00, 11:00, 14:30, 15:30, 16:30(要予約)

5 rue Maurice Ravel
78490 Montfort-l’Amaury
Tel: +33 1 34 86 87 96
(Maison du Tourisme et du Patrimoine)

web: Maison-Musée de Maurice Ravel

アクセス:
SNCF Montfort-l’Amaury(MontparnasseからDreux方面行き)下車
徒歩45分(3.6km)


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“ラヴェルの住んだ家。” への3件の返信

  1. 外観だけでもいろんなモチーフが使われていて面白いですね。名の有る建築家のものかそれとも彼がデザインしたのか?

  2. カーブしている場所に建てられていて、横長で奥行きがあまりなくて不思議なつくりですよね。右側からの写真を友達が送ってくれたのでアップしました。
    Le Belvédère(展望台、東屋)という名前がある家で、J. Morel という建築家による制作だそうです(1907年)。
    ラヴェルはおじさんの遺産を相続してこの家を買い、手を加えたのだそうです。

  3. 知り合いのJALのパイロットの方がラヴェルの家を訪れ、いろいろ画像を見せてくださいました。あのピアノはエラールかなと思い、ネットで検索してこちらのwebsiteにたどり着きました。ああやっぱりエラールだと思い、どなたが作っていらっしゃるsiteかなとプロフィールを拝見してびっくり、kaoriさん。家内(Akiko S)からいろいろお話は伺っておりました。夜のガスパールはたしかkaoriさんの十八番でしたね。

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