りるーが…

Lilou先週の火曜日、6月20日にりるーが逝ってしまった。あまりにも突然に。

狂ったように暑い夜だった。いつもだったらリードに繋ぐのに、あの日は繋ぐ間もなく6階(日本の7階)の窓から飛び出して雨樋をつたって隣の建物の屋根の先のバルコニーに遊びに行ってしまった。
不器用でおっちょこちょいなミラと違ってりるーは敏捷だし、お腹が空いたりトイレに行きたくなったら帰ってくるので最近は心配していなかった。
りるーは一度戻ってきた。何か言いたそうだったので彼がりるーを抱いてよく見たら、お腹にナメクジみたいなモノがくっついていた😩 ああ、鉢植えがいっぱいありそうなあのバルコニーに潜り込んだんだな、と思いながら取ってあげた。
するとりるーはうれしそうに素早くまた窓の外へ飛び出してしまった。
あまりにも暑かったし、りるーが帰ってこれるようにと窓を開けっ放しにして寝た。
何日か前にもりるーが夜外に脱走したけれど、夜中に戻ってきて上機嫌で近くにやってきて顔を舐めてくれたりした。彼はそれが相当うれしかったらしく、やっぱりりるーはミラと違って外が好きなんだよ、両親の家のねこなんか夜は外で寝ていて帰りたくなったら帰ってくる、などと安心しきっていた。

朝、ミラの気配で目が覚めた。りるーは帰っていなかった。
さすがに少し心配になった。日差しが既に強くなってきていて、雨樋も隣の建物の屋根も熱くなってきた。何度も冷たい水を雨樋に流してみたけれど、とてもりるーが歩ける状態ではなさそうだった。
ミラには悪かったけれど、ミラをリードで窓辺に繋いで、窓の側にトイレやカリカリや水を置いて、窓を開けっ放しにして仕事に行った。いつりるーが帰ってきてもいいように。

仕事が終わって大急ぎで帰ったけれど、りるーはいなかった。まだ屋根が熱かったから仕方ないと思ったものの、不安になった。
暗くなりかけていた。何度も呼んだ。私自身が窓から出て雨樋の上を恐る恐る歩いて屋根の上まで行こうとしたけれどつかまれるところがなくて、あまりにも高くて怖くなって止めた。
ふと思い立って、4階の階段の踊り場の中庭側の窓からりるーを呼んでみた。頭の上の方からぎゃーおという押し出したような声が聞こえた。その声はやがて多分知らないねこの声に変わった。
でも気になって懐中電灯を取ってきて中庭に面した建物を照らしていたら迷惑そうに雨戸を閉める音がした。またりるーを呼んでみた。
するとまた頭の上の方でねこの声がした。その声の後に、聞き憶えのある声が短く2回返事をした。絶対りるーだと思った。
もう暗くなってしまっていてよく見えない。もしかしてさっきのぎゃーおっていう苦しそうな声もりるーだったのではないかと思った。
4階のアパートのドアが開いて、女の人に「一体何時だと思ってるんですか!?」と言われてしまった。謝って呼ぶのを止めるしかなかった。
リードで窓辺に繋ぐため付けたままにしているハーネスが引っかかって動けなくなったりしているのではないのだろうか、だとしたらこの猛暑の中1日中水も飲めずご飯も食べられず脱水症状とかに陥っているのではないかという考えが頭の中で渦巻いて、どうしたらいいんだろうとパニックになった。

その時だった。彼から電話があった。
「とっても悪いニュースがあるんだ。」

彼はりるーを探して近所をよく見ながら帰ってきたのだが、隣の建物の入り口のドアが開いたままになっていたので中を覗いたらりるーが床に寝そべっていたという。
「なんだ、こんなところにいたんだ、りるー!」と近寄ってみたが動かない。
変に思って手を伸ばしたら、りるーは冷たかった。

うそでしょ!悪い冗談はやめて!今、どこにいるの!?と聞くと、そんな冗談言うはずないじゃないか、下にいる、と言った。
私が階段を降りてドアを開けると、本当に彼がりるーを抱きしめてごめんねと言いながら泣いていた。
本当にりるーだった。本当に冷たかった。
でもふわふわでつやつやの毛でぬいぐるみみたいないつものりるーだった。
少し目が開いていたので瞼を閉じてあげたら、よくりるーがしていた、両目ウィンクしてにーって笑っているような表情になった。
首がくたっとして、よく注意して見ると顔の横に強く打った跡のようなものがあったけれど、その他に大きな外傷はなさそうに見えた。
ハーネスは安全装置が効いて外れていたという。ハーネスが何かに引っかかって、焦ったりるーがもがいていてバランスを崩して落下したのだろうか?
あのバルコニーに変なハーブがあったりして、食べてふらふらになって落ちたのだろうか?
それとも…?
…本当の事はわからない。

土曜日、隣の建物の住人らしい人が出てきたところに出くわしたので話を聞いたら、あの日、お掃除の人が中庭でりるーを発見して区役所に連絡した後で飼い主がわかるように入り口に寝かせたのだとか。時間は知らないけれど、お掃除の人という事は朝とか昼間のはず。
私が中庭側の窓辺で聞いた、りるーだと確信した声は一体!?😨

あの時、一度帰ってきた時にどうして何が何でもりるーをリードに繋がなかったんだろう?
どうしてあの時窓を開けたんだろう?どうしてもう少し暑さを我慢しなかったんだろう?
外に行かせるならなぜハーネスを外してあげなかったんだろう?
どうしてあの前の日、りるーがすごく甘えてきた時にもっと撫でてあげなかったんだろう?そもそも何でりるーはあんなに甘えてきたんだろう?
どうして?何で?…

最後にりるーが私の背中に飛び乗ってきたのはいつだっただろう。

りるーは2歳2か月になったところだった。あまりにも早過ぎる。
あと10日で、我が家にやってきて2年になるところだった。
まだまだこれからずーっと一緒にいられると思っていたのに。
まだりるーの声が聞こえるような気がする。ソファーの下に、カーテンの影に隠れているのではないかと思う。

ミラはまだりるーを探している。すっかり元気を失って。
ついさっきまで2匹が追いかけっこして走り回っていたような気がするのに。
りるーも、こんなはずじゃなかったのに、と思ったかもしれない。
せめてりるーがあまり苦しまずに逝った事を願うばかり…。

りるーほど脚力のあるねこでもこんな事になるのだ。
ねこは高いところから落ちてもちゃんと着地するというけれど、実際には障害物があったりするだろうし、鳩などに気を取られたりもするだろう、パリではねこの落下事故が多いという。りるーがまだ小さかった頃はあんなに心配していたのに、大きくなって過信してしまっていた。
パリの狭いアパート暮らしでねこと暮らすという事は、田舎の一軒家でのびのびねこと暮らすのとは違う。十分それを認識した上で対策をしなければいけないのに。

フォーレのレクイエムでりるーにお別れをした。
りるー、ごめんね。ごめんね。ごめんね。
でも、りるーと出会えて本当によかった。
りるー、大好きだよ。ずっとずっと大好きだよ。
たくさんの温もりと幸せをありがとう。
ミラを見守っていてね。