この1年あまりにも疲れた私、この夏は文字通りバカンス=空っぽになっている。
バカンスに入りたてに大風邪で寝込んで以来、すっかり気が抜けて大した事は何もしていない。旅行に出かけたパリ近郊のおねえさんの素敵なアパートで住み込みねこシッターをしたり、突然頼まれて1日にヴァイオリンの友達のコンサートで伴奏をしたぐらいで後はひたすら溶けている。ああ、でもこんな時間が欲しかった〜〜〜!!
そんな中で友達Sちゃんのおかげで7月の最後の日曜日にサン=スュルピス教会のオルガンを間近で見せてもらうチャンスに恵まれた。
ソフィ=ヴェロニク・ショプラン(Sophie-Véronique Choplin)というサン=スュルピス教会のgrand orgueのtitulaire adjointe(副オルガニストって訳すのだろうか?)の夕方のミサでの素晴らしい即興演奏をいきなり目の前で聴いて、雷に打たれたらこんな感じ!?というようなショックを受けた。
ソフィ=ヴェロニクさんとの挨拶をすますと早速秘密の入り口みたいな所へ案内されてわくわく
サグラダ・ファミリアの塔の中みたいな狭い石の螺旋階段をぐるぐる上りつめるとオルガンのある階に着く。

教会の内部が見下ろせる。
教会のgrand orgueのパイプってこんなに太かったんだ、と驚き。
オルガンのあるところの横に小さな部屋があって、歴代オルガニストの肖像や写真が掲げられていた。
写真はマルセル・デュプレ。
(↑ローマ賞を受賞してたのね!)
1971年までオルガニストを務めたそうだ。
大きな教会のオルガンを間近に見るのは初めて!
椅子(固定されてた?)と鍵盤が思ったよりずっと遠くて驚いた。鍵盤はバタバタとかなり大きな音がして、ものすごく力を入れないと弾けないんじゃないだろうか?という印象。それに、弾きながら(手も足もフル稼働、しかも即興をしながら!)こんなにたくさんのストップをどうやって操っているんだろう?とひたすらため息。(助手や見学に来ていた生徒が横に座って時々手伝っていたけれど)
ソフィ=ヴェロニクさんは和やかに周りの人たちとバカンスの事などを談笑していて、演奏はまだ先なのかな、と思っていたらいきなり即興が始まって度肝。
譜面台に短い単旋律のテーマが書かれた紙がぺろんと置いてあるだけなのに、音楽は広がる、深まる。ぐいぐい引きこまれて息をするのも惜しいようなテンションだった。
シンプルで耳に残るテーマに吹き込まれた魂は次第に層を厚くし絡み合って葛藤し…そして最後の盛り上がりといったら、荘厳にそびえ立つ巨大な塔のようだった!!
(そういえばハマって見た2003年の「白い巨塔」のテーマ曲がオルガンだったけど、もっともっと目眩がするような壮絶なラストだった!!)
即興演奏が終わって、ソフィ=ヴェロニクさんは何事もなかったかのようにけろりとしていたけれど、私たちはしばらくショック状態に陥っていた。。。
Sちゃんが彼女から聞いたところによると、当日大切なお友達が亡くなったそうで、教会に来る車の中で追悼のためにそのお友達の名前のアルファベットをモチーフにテーマを書き、いきなり即興したのだという。経験豊富とはいえ、ものすごい才能の持ち主なのだろう。
横に座って見学&手伝いをしていたピアニストでまだオルガン歴の浅い生徒さんが最後にほとんど全部のストップを次々と引かなきゃいけない時にモタモタしていたら、弾きながらひょい♪と足でストップを差し示したのがとってもおちゃめだった。
それも、全然イライラしたりしないで…大物は余裕があるな〜!

ミサの後半はタイミング調整のため?モニターを見ながら。
電話で希望のスタイルを聞いたりして選曲していた。
この教会のオルガンはFrançois-Henri Clicquotによって1776年から1781年にかけて制作され、1862年にAristide Cavaillé-Collによって修復と拡大が行われたそう。
その昔はオルガンの裏側にある器械で何人も人間を使って空気を手動で送っていたそうだ。
オルガンは教会の一部であり教会がオルガンという楽器の一部、みたいなもの。オルガンを聴きにいろいろな教会を訪れるっていうのも面白そう。ストラスブールの大聖堂とか。
シャルトルの大聖堂にもいつかもう一度行って、今度はオルガンを聴いてきたいな。
参考までに、サン=スュルピス教会は今外側の修復工事中。
ダ・ヴィンチ・コードに出てきたというドラクロワの壁画は入り口のすぐ側にある。
物語に出てきた日時計のエピソードがちょっとした問題になったそうだ。その日時計は見てこなかった、、、
Eglise Saint Sulpice
サン=スュルピス教会
Place Saint-Sulpice
75006 Paris
Tel: +33 1 46 33 28 16
アクセス:
メトロ: St Sulpice / Odéon (ligne 4) Mabillon (ligne 10)
バス: Eglise St Sulpice (63, 70, 86, 87, 96) St Sulpice / Sénat (84) 他
7:30〜19:30
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う〜ん 思い出して感銘に浸る私。
Sちゃんです(笑)
今でも心に残るあの場面だよね ほんとにショックが続いています。
また聴けると 実際弾けるといいなぁ♪
今 日本で読むとちょっと遠い思い出になっていることが不思議だわ
又のUPを宜しく〜〜〜
> Sakuraちゃん
そうなんだよね、日本に帰るとパリの事がすご〜く遠くなるでしょ。何でだろうね?
逆に、ちょっと違うかもしれないけど日本から来たばかりの頃は、パリで見るもの聴くもの何でもいきなりフィルターが剥がれたかのように鮮烈に感じたものだった〜。日焼け止め塗らないで直射日光に当たったような感じ。
今はその逆をやってるのかな…?などと思う私。
コメントになってない?はい、、、
何はともあれBonnes vacances au Japon :-)
オルガンも凄いけどそういう建物の中で演奏するっていいな〜
日本だと奈良の大仏殿の中で演奏する感じかな?
> しろしろどん
お〜なるほど〜!!
お寺とか教会って何か出てきそうだしね〜ひゃ〜〜〜!